『M 愛すべき人がいて』へと繋がる“鈴木おさむユニバース”ここにあり!『奪い愛』シリーズ再評価の兆し

 歌姫・ #浜崎あゆみ の半生を記したノンフィクション小説がベースのテレビ朝日×ABEMA共同制作ドラマの人気を受けて、 #鈴木おさむ 脚本による『奪い愛、冬』(2017)と『奪い愛、夏』(2019)に再評価の兆しがある。
 『M 愛すべき人がいて』(以下、『M』)は脚本担当の鈴木おさむによるイマジネーション爆発のキャラクター設定や、史実を誇張したメロドラマ風展開が「一周回って斬新」との評価を得ている。そして『奪い愛』シリーズも同様にクセの強い登場人物やデフォルメ演出など共通点が多々あり、再発掘してハマる視聴者が続出している。時空を超えて視聴者をざわつかせる“おさむユニバース”を、今だからこそ旅してみてはいかがだろうか。

鈴木おさむ劇団のベースが出来上がった『奪い愛』シリーズ

 『奪い愛、冬』(以下、『冬』)は、康太( #三浦翔平 )と結婚間近のデザイナー・光( #倉科カナ )の前に、かつて死ぬほど愛した元彼の信( #大谷亮平 )が現れたことから巻き起こる愛憎劇。強烈すぎるドロドロ展開は放送当時“深夜の昼ドラ”と評されたほど。同作で水野美紀が怪演した信の妻でストーカー気質の蘭は視聴者に大きなインパクトを与えた。そのミステリアスかつホラーな立ち振る舞いは、『M』で田中みな実が扮した独眼竜秘書・礼香に引き継がれている。
 『冬』放送後に制作された『奪い愛、夏』(以下、『夏』)は、蘭のDNAを継承した役どころで水野が主演したクレイジー狂愛ドラマ。1億円契約で敏腕女社長・桜(水野)と結婚せざるを得なくなった椿(小池徹平)の恐怖と秘められた恋を描く。口に含んだ水をぶっかけたり、巨大三角定規で尻をぶっ叩いたり、椿の“社会の窓”を上げ下げしたり…。桜の激情はそのまま『M』第2話で水野自身が演じたスパルタトレーナー・天馬に転生。椿の同僚役で田中みな実も出演しており、『M』へと続く鈴木おさむ劇団のベースも出来上がった。『M』第3話で衝撃を与えた田中による「許さなーーーい」の原型ともいえるセリフが『夏』にはあるので、それも要チェックだ。

『奪い愛』シリーズで完成した昭和テイストのいじめ描写

 虹の出現や昭和テイストのいじめ描写など『M』の「一周回って斬新」な誇張したメロドラマ的展開と驚愕の演出も、『奪い愛』シリーズですでに完成している。『冬』では雪(CG)の降る雑踏で信に別れを告げられた光がガクッとくず折れたり、康太の毒親からの陰湿すぎるイビリやスパイたちの策略に振り回されたり。『夏』では椿と恋人・杏(松本まりか)が禁断の恋に燃えたり、桜が開催する監禁拷問クイズ大会に恐怖したり。両作品ともに現実とは思えぬデフォルメ表現と珍事件が毎話勃発し、ある部分では『M』を超えていたりする。
 『夏』が『冬』のパラレルワールドとして位置付けられているように、『M』ももう一つの並行世界として描かれた作品といえる。3作品ともにオープニングは海からスタートするし、『夏』の桜が砂浜に字を書く流れは『M』のアユ(安斉かれん)も実践している。『冬』での蘭の右足の大怪我は礼香の右目の眼帯に変わり、信と蘭の逃れられない主従関係はマサ(三浦)と礼香に置き換えられる。
 『冬』で光が康太の毒親(榊原郁恵)にいびられ、『夏』で杏がセミの死骸を机の引き出しやどら焼きに入れられたように、アユもライバルたちにいびられ、シューズに画びょうを入れられる。これら形を変えたデジャブ体験は3作品を見る上でたまらなく面白い。ちなみにダレノガレ明美が演じた康太のセレブ系元カノの名前は、礼香である。これらあまりのリンクの多さに、『M』のサブタイトルを『愛すべき人がいて、春』に改名してもらいたいほどだ。
 アユたちヒロインに共通するのは、どんな逆境にあろうとも自分の意思を貫いて突き進む力強さ。受け身だった康太や椿、マサたちも回を重ねるごとに攻勢に転じ、ストーリーも異様な熱を帯びていく。現在『M 愛すべき人がいて』は新型コロナウイルスの影響から撮影スケジュールに遅れが出ており、放送は休止中。しかし『M』ロスを嘆く前にABEMAなどの動画配信サービスで『奪い愛』2作を復習し、再開後の『M』を数倍楽しむ準備をするのも悪くないだろう。
テキスト:石井隼人

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『M 愛すべき人がいて』へと繋がる“鈴木おさむユニバース”ここにあり!『奪い愛』シリーズ再評価の兆し