昼は役人で夜は閻魔大王の手伝い…小野篁の聖地に女性ファン増加「超人的な力への憧れかも」

 平安時代の公卿・小野篁(たかむら)(802〜52年)は昼は朝廷の役人、夜は冥界(めいかい)で閻魔(えんま)大王の裁判の手伝いをしたという。平安京の東の葬送の地だった鳥辺野(とりべの)に通ずる、この世とあの世の境「六道の辻」に立つ六道珍皇寺の境内には、篁が冥土通いに使ったと伝わる井戸がある。

 篁は学生時代、過ちを犯したが、朝廷の実力者・藤原良相(よしみ)の計らいで罪が軽くなった。後年、病死した良相は閻魔庁の裁判の場にいた篁のおかげで生き返った。そんな恩返しの説話が「今昔物語集」にある。

 篁は身長が6尺2寸(約1メートル88)とかなり大きく、漢詩、和歌、書の達人で文武両道だった。坂井田良宏住職(74)は「多才で優れた体格を持つ篁は、人間離れした力を持っていたと考えられたのでは」と推し量る。

 本堂前の閻魔堂には篁の作と伝わる「閻魔大王坐像(ざぞう)」と並ぶ、ほぼ等身大の「小野篁卿立像」が安置される。

 そんな篁の姿を一目見ようと、参拝者が増え始めたのは約10年前。森見登美彦さんの小説「有頂天家族」や江口夏実さんの漫画「鬼灯の冷徹」で篁が登場し、女性ファンが訪れるようになった。

 昨年には、京都観世会の能楽師たちが江戸期の謡本(うたいぼん)などを基に、能「篁」を約500年ぶりに復曲させ、これまでに2回の公演があり、ともに満員となる盛況ぶりだった。

 坂井田住職は「地獄があまり信じられなくなった現代でも篁がもてはやされるのは、いつの時代も心のどこかで超人的な力を持った存在を求めているからではないでしょうか」と話す。

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