“貧しいところからブルースは生まれる”と、ステレオタイプな言い方から始めてみるとしよう。音楽の発生は多様であり、ひと括りにできないから必ずしも…とは思うものの、当たらずとも遠からず、だろうか。生活困窮、劣悪な労働環境、人間関係、不穏な夫婦関係、妻、恋人の不貞、仲間の裏切り、人種差別、犯罪、殺人、戦争…と。なるほど、ブルースはそういった状況のもとで生まれ、また、そういった内容を歌われていたりする。演っている演奏者、歌手も歌、曲と同じ境遇にあることも多々ある。中には贅沢な暮らしに身を置き、何不自由もないステイタスにいながらブルースをやるミュージシャンもいるにはいるが、それはそれ。彼(彼女)を通して伝えられるブルースから、より深淵な世界に想いを馳せるのも、この音楽への接し方のひとつである。要するに、この音楽を好きになるには、聴く側の想像力、感受性が問われるのである。
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