「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね?」——。西条八十の詩「ぼくの帽子」の詩句が流行語になったのは1977年。森村さんの小説「人間の証明」と、同名映画の大ヒットがきっかけだった。殺人事件に秘められた母と子の悲しい詩情が、物質文明に翻弄(ほんろう)されていた時代の大衆の心に響いた。「人間の証明」は、生涯で400冊を超える著作を刊行した森村さんの代表作。角川春樹氏から「作家の証明書となるようなものを書いてください」と依頼され、その迫力と真情に応えた。
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