『君たちはどう生きるか』作品評 理屈を超越した「漫画映画」への回帰

82歳となった 宮崎駿 監督の10年ぶりの新作『君たちはどう生きるか』が公開中だ。ネット上では連日様々な感想や推測が行き交っている。作中に登場する吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」(1937年)、設定に共通点が多いジョン・コナリーの児童文学「失われたものたちの本」(2021年)、景観が似ているアルノルト・ベックリンの絵画『死の島』(1880年〜1886年)など、様々な影響が語られており、多事争論の様相だ。それらの指摘も賛否の声もそれぞれ興味深く、一方向に評価が収斂されるより健全で新鮮だ。全ては 鈴木敏夫 プロデューサーの「事前宣伝・制作者側の情報発信なし」の破天荒な方針を貫いた成果と言える。

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